1837年 ティエリ・エルメスがパリで高級馬具工房を創業。高貴な馬車用アクセサリーを中心に展開。
1892年 馬の飼葉桶に着想を得た「オータクロア」バッグを発表。現在のバーキンの原型となる大型トラベルバッグ。
1920年代 自動車の普及により馬具需要が減少、革製バッグ・財布・アクセサリーなどの製造を本格化。
1930年代前半 台形フォルムとフラップが特徴の「サック・ア・クロア」登場(のちのケリー)。エレガントなデザインが富裕層の間で人気に。
1956年 モナコ公妃となったグレース・ケリーが使用し、雑誌『LIFE』に掲載されたことを機に「ケリー」と呼ばれるようになる。正式名称に。
1959年 シンプルなHバックルが特徴のショルダーバッグ「コンスタンス」が登場。ジャクリーン・ケネディも愛用したことで人気に。
1978年 エルメスの6代目ジャン=ルイ・デュマが社長に就任し、ファッション分野を強化。レザーグッズの拡充も進む。馬の蹄跡を模したHのパンチングロゴを特徴としたショルダーバッグ「エブリン」が誕生。
1984年 女優ジェーン・バーキンのアイデアから「バーキン」バッグ誕生。高級バッグの代名詞となる。
1990年 メンズバッグも拡充され性別を問わない展開が進む。
2002年 日常使いに適したバケツ型トート「ピコタン」登場。
2007年 モダンなデザインと機能性を融合した斜めがけバッグ「リンディ(Lindy)」が登場。収納力の高さと柔らかなフォルムで人気を博す。エルメスのエントリーモデルとして幅広い層に人気となる。
2010年代 ケリーミニ、コンスタンスミニなど、小型サイズのバッグがトレンドに。パーソナルオーダーや希少素材も拡充。
2020年代 世界的なラグジュアリー志向の高まりにより、エルメスバッグは投資対象としても注目される。新素材や限定色の人気が加速。
エルメスのバッグは時代ごとに微細なディテールの変化があり、それがコレクターの間では非常に重要なポイントとなっています。
特に注目されるのは、刻印(スタンプ)と呼ばれる製造年を示す記号。アルファベットと記号の組み合わせによって、おおよその製造年が判別できます。例えば、□Aは1997年製、○Tは2015年製といった具合です。
また、2000年代以降には製造職人のコードも刻印されるようになり、バッグの出自を明確にする要素として重宝されています。これらの刻印に加え、ロックや鍵、クロシェット、金具の形状などにもマイナーチェンジがあり、真贋鑑定や価格査定において重要な判断材料となります。
エルメスのバッグには、製造された年を示す刻印(スタンプ)が施されており、これはアルファベットと記号の組み合わせで表現されます。この刻印は、真贋鑑定や中古市場での価値判断において非常に重要な要素です。
刻印の規則性にはいくつかの時代区分があり、アルファベットがAからZまで順に進み、それが一周すると次の記号へと移行するのが基本的なパターンです。
一般的に認識されている刻印と製造年の対応は以下の通りです。
エルメス製造刻印一覧
【1】〇(丸)囲みアルファベット(1971年-1996年)
刻印 | 製造年 |
〇A | 1971年 |
〇B | 1972年 |
〇C | 1973年 |
〇D | 1974年 |
〇E | 1975年 |
〇F | 1976年 |
〇G | 1977年 |
〇H | 1978年 |
〇I | 1979年 |
〇J | 1980年 |
〇K | 1981年 |
〇L | 1982年 |
〇M | 1983年 |
〇N | 1984年 |
〇O | 1985年 |
〇P | 1986年 |
〇Q | 1987年 |
〇R | 1988年 |
〇S | 1989年 |
〇T | 1990年 |
〇U | 1991年 |
〇V | 1992年 |
〇W | 1993年 |
〇X | 1994年 |
〇Y | 1995年 |
〇Z | 1996年 |
【2】□(四角)囲みアルファベット(1997年-2014年)
刻印 | 製造年 |
□A | 1997年 |
□B | 1998年 |
□C | 1999年 |
□D | 2000年 |
□E | 2001年 |
□F | 2002年 |
□G | 2003年 |
□H | 2004年 |
□I | 2005年 |
□J | 2006年 |
□K | 2007年 |
□L | 2008年 |
□M | 2009年 |
□N | 2010年 |
□O | 2011年 |
□P | 2012年 |
□Q | 2013年 |
□R | 2014年 |
【3】枠なしアルファベット(2015年-現在)
刻印 | 製造年 |
T | 2015年 |
U | 2016年 |
X | 2018年 |
Y | 2019年 |
Z | 2020年 |
A | 2021年 |
B | 2022年 |
C | 2023年 |
D | 2024年 |
これらの刻印に加え、2000年代以降のバッグには製造職人のコードも刻印されるようになり、バッグの出自をより明確にしています。ロックや鍵、クロシェット、金具の形状などにも製造年代によってマイナーチェンジがあり、これらはすべて真贋鑑定や価格査定の重要な判断材料となります。